インタビュー・レビュー
Danteコンパクトプロセッサーシリーズ:島田宏俊

Danteコンパクトプロセッサーシリーズの開発に携わった島田宏俊に開発当時のお話を聞きました。

 

Danteコンパクトプロセッサーシリーズの開発でどのような仕事をされたのでしょうか?

自分は、Danteコンパクトプロセッサーシリーズ(以後、DCPシリーズ)の設計リーダー兼ファームウェア(以後、FW)担当でした。
実は、同時期に発売されるMX-8AのFWメンバーと共同で作業しました。もともと、DCPシリーズとMX-8Aは別の企画として立ち上がっていたのですが、DCPシリーズの詳細を詰める段階でDSP機能を搭載するというアイデアと、それをMX-8Aと共通の設計リソースを使って実現することを提案しました。その提案が通ったので2つのプロジェクト共同で作業を分担することになったのです。
DCPシリーズもMX-8AシリーズもFW主担当は一人ずつでした。自分はシステム全般の設計と機能制御部分、それとDanteのコントロール部分を担当しました。もう一人はリモートの送受信部を担当しています。TASCAM製品全般のDSP設計の担当が別にいて、HW制御とネットワーク関連のヘルプをしてくれたメンバーがいます。

 

Dante製品を手がけるのはML-32D/ML-16Dに次いで2機種目ですね。

ML-32D

はい、2機種目なのも含めてDante関連でアプローチを変えた部分が2つあります。
1つはリモート制御の接続について、もう1つはDanteの制御についてです。
我々のこれまでの製品、DA-6400やSS-CDR250などではDante用とリモート用で端子を分けていましたが、DCPシリーズでは、PoE対応からもわかる通り接続数ケーブルが少ないほうがお客様にとってメリットが大きいことと、筐体が小さいため端子を増やしたくないという理由から、端子を共通にしました。端子を共通化した代わりに内部でDanteとリモートの信号をルーティングする必要があります。
また、これまでの製品ではAudinate社のDante Controllerに任せていた部分の制御も一部、本体からできるように取り組みました。

 

DCPシリーズを手がけるに当たって拘ったポイントはどこにあるのでしょう?

自分は開発部門の中でも製品仕様にこだわりがあると自負しています。
過去の当社の製品は音楽用途がメインでDSPの仕様も音楽向けに設計されていましたが、DCPシリーズは設備用途ですので要求される仕様が異なります。出力チャンネルEQのバンド数や、ディレイの調整値など、ミキサーブロックのアンビエントノイズコンペンセイター機能などが一例です。

 

今回の製品では新しい分野に挑戦したと思うのですが、そのあたり如何ですか?

TASCAM DCP CONNECT

確かに我々には分野の新しい商品ではありますが、プロが使う製品という意味では同じです。そして今までもプロの人が使う市場で製品を作ってきた実績があります。自分は設計リーダーとして仕様や調整に奔走する部分が多かったのですが、設計に関しては仲間たち実力を信用しているので信頼して任せられました。
自分の担当としては、アプリと密に連携する製品の担当が初めてでした。そのなかでアプリの仕様を決めるプロセスが自分の想定以上に大変でした。アプリ担当の方々が凄く良く考えてくれて。自分のほうからは沢山要望を出すのですが。それは違う!とか、それならこの方が良いですね!とか、こちら想定以上に色々なことを考えて仕様を決めてくれたので随分助けられました。すごく良いアプリが出来たと思っています。

 

この製品を通じてユーザーの皆様に届けたかったものはなんでしょうか?

DCPシリーズはコンパクトなDante-Analog I/OにDSPが搭載されたのが特徴です。ある程度小規模なシステムでは、今までより低コストでより簡素なシステムが提供できます。
当初のDCPシリーズのコンセプトはDanteの少チャンネルのエンドポイントでした。企画が上がってきたときに市場や競合製品の調査をするのですが、アメリカを中心に同じような製品がたくさんありました。このままじゃまずいので我々が出すべき製品をすごく色々と考えた結果が現在の仕様です。今世の中にあるシステムってまず何でもできるDSPがシステムの中心にあって、音の出入り口にDanteのI/Oがある、というものでした。それならI/OにDSPを載せてしまえば、中心にある高価なDSPは不要になります。そうすると今までコスト的にあきらめていたシステムでもDSPが使えるようになる。配線等の工事も楽になる。そういうものを形にしました。

 

製品がリリースされて、ユーザーの皆様に感じて欲しいことは何でしょうか?

設備用の機械だし、ある意味ユーザーの方が何も感じないのが一番いいんじゃないかなと思っているんです。それが当たり前のように使って貰えることがとても大切。そう思っています。

 

 

開発者プロフィール

ティアック株式会社
開発統括部 開発1部 ファームウェア開発課
島田宏俊

開発担当者一覧

播博文、西巻辰夫、松本祥悟、吉本拓弥、佐藤琢、小俣裕之、島田宏俊

 

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