インタビュー・レビュー
SERIES 102i、SERIES 208i:岡裕彦

USBオーディオ/MIDIインターフェース『SERIES 102i』および『SERIES 208i』の開発に携わった岡裕彦に開発当時のお話を聞きました。

 

SERIES 102iとSERIES 208iの開発にどのように携われたのでしょうか。

メインは電気のハードウェアにおける両製品の全般です。
いままでの実績のある良い部分は踏襲しつつ、新規なハードに生まれ変わっています。

 

回路を作り直したとのことですが、拘ったポイントなど伺えますか?

やっぱり録音する時のマイクプリの音質は重要だろうと。そこを何とか性能をアップさせようと試みました。
マイクプリは、EINとS/Nが重要になりますので、そのあたりの改善を行いました。また、音質に関しては、そのあたりをメインにやってきました。

 

回路設計や部品選定は経験値が大きいと思うのですが。

オーディオを何十年もやってきていますからね。これまでもマイクプリに関連するDRシリーズ、ミキサーも手掛けてきているので、諸条件をしっかり見て、目指すべきところを決めて、そこに見合うデバイスを選定しています。
外に目を向けても、競合各社の最近のモデルも、スペックアップしてきているので、停滞するわけにはいきません。

 

開発で苦労したのは、どういったところでしょうか?

今回の新しい回路は、設計値通りの結果を得るのがなかなか難しくて、測定を繰り返して、目標のスペックに到達するために、じっくり時間をかけて取り組みました。
オーディオインターフェースなので、様々なパソコンと接続試験をします。製品と接続するパソコンによって、不具合を起したりすることもあるので、その検証に時間が掛かりました。

 

改めて伺いますが、SERIES 102i、SERIES 208iは、US-2x2やUS-4x4からどのように発展しているのでしょうか。

まず、CPUが新規になっています。なぜ新規になったかと言うとアプリケーション(Settings Panel)上にデジタルミキサーを付けたりとかエフェクトをかけられるようにしたためです。ドライバーも新規のものなので、外見は似ていますが中身は真新しい。

 

ユーザーに求められるTASCAMの音質の継承は、どのように行われているのでしょうか。

自分が入った時点から、オーディオ回路の基礎となるものは既にありました。大枠で引き継いでいるものはあるのですが、回路に関しては10年くらい前に標準化しようという動きがありました。例えば、誰がマイクプリを任されたとしても音質であったりとか安定性であったりとか特性であったりが保証されているということです。勿論各製品にフィットするアレンジが都度施されていることは言うまでもありません。
アレンジは、開発チームの中で知見を持っている人と相談し合いながらトライしています。

 

自分が考えられるTASCAMの音色作りとはどういうものなのですか?

例えば周波数特性ってありますよね。他社の製品は、わざとどこかにピークを持たせたりとか低域を少しブーストさせたりとか、高域の周波数だけ ちょっと山を作ったりとかありますよね。
我々はよく言われるのですが『何も足さない。何も引かない。』という部分は愚直に守っていて、変な癖がつかない設計にしています。
加えて、私が個人的に気を遣っているのがPCBのレイアウトです。数字に表れない所もあるのですが、アナログとデジタルの回路が混在する中で、グランドであるとか電源であるとかレイアウトそれぞれの配置をかっちり分けたりとか、干渉しないようにといった所は最初の設計であるPCBのレイアウトから気を遣って設計をしています。

 

SERIES 102i、SERIES 208iでユーザーに感じて貰いたいものは何でしょうか?

今回のSERIES 102iとSERIES 208iは自信作です。ユーザーの皆様には、まずは音を聴いてもらいたい。加えて、US-2x2やUS-4x4と比べてユーザーインターフェース機能は向上していて、例えばよく使うメインのモニターコントロールのボリュームをちょっと大きくして使い勝手を向上しています。
また、細かい部分ですが、入力が複数あるので、今まではファントムのオン/オフとかギターの入力と普通のマイクラインの入力がある程度まとめてしか切り替えられなかったものを、各チャンネルで全部切り替えられるようになった所なども使い勝手が向上しています。実際に使って頂ければかなり便利になっていることを幾つかのポイントで感じて貰えると思います。
アプリケーション(Settings Panel)も今回も新規に作っています。Celesonic US-20x20相当の多機能のモノが付いているので価格以上の機能を体感して貰えると思います。S/MUXもついていますから満足度も高いのではないでしょうか。

 

製品の質感も向上しましたよね。

新しく製品を出すにあたって『高級感』というものがキーワードになっていて、お使いいただく方の質感に対する満足度も高いのではと期待しています。

 

音質、高級感というキーワードが出ましたが、他に企画の出発点となるのもはあったのでしょうか?

S/MUXでしょうか。そもそもS/MUXを付けたいというのはユーザーさんにもっと良い音で録って貰いたいという我々の意思の表れなんです。こだわっているユーザーさんは、好みのモノに入れ替えられますので、満足して使って貰えると思います。 やっぱり良い音で録って貰いたい。その想いに集約されていると言って良いと思います。

 

TASCAM製品は、ここは絶対に負けないっていうものはなんでしょうか。

難しい質問ですね。電気ハードの担当としては、やはりスペックです。同じ価格帯であれば、その中で一番を目指す。それを当たり前のこととして日々やっていく。我々が出来ることは限られているかもしれませんが、今後もっと皆様に満足いただける提案が出来ればと思っています。

 

開発者プロフィール

ティアック株式会社
開発統括部 開発2部 ハードウェア開発課
岡裕彦

開発担当者一覧

松井尚人、中村進、石﨑宙直、山﨑暢、早坂要、岡裕彦

 

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